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▼れいさん:
はじめまして、こんにちは。
ASの夫(未診断)をもつききりんりん。です。
れいさんに直接レスをつけさせて頂くのは初めてですが、
れいさんのコメントには、自分の道を確実に歩んできた方のみがもつ
温かさというんでしょうか、柔らかさというんでしょうか、
そういったものを、いつもお言葉の端々から感じており、
同じ女性として、見習いたいと思うところがたくさんあります。
(お気にさわる表現でしたら、申し訳ありません!)
ASについて理解を深めようと模索していた頃、
ASの特性である「シングルフォーカス」についての講義を
受けたことがあります。
想像力の欠如=物事や事柄の総体図が見え難いことにもつながるのでしょうが、「シングルフォーカス」とは1つの事柄、1つの物事に焦点を合わせると、
ほかの事柄や物事は、ぼやけてしまうことです。
同時に、2つ以上の事柄や物事へ、注意を向けたり、配慮するのは、
難しいということにもなります。
このシングルフォーカスをメリットととらえるなら、
「一つの物事・事柄に対する集中力がずば抜けている」
いわゆる学者肌・職人肌気質といえますし、
デメリットととらえるなら、
「一つの物事に注意を向けると、一つの物事しか見えなくなる」
ということになります。ですから、
>彼氏は長い混み入った話合いはできないのではないですか?
>頭もよくて、やこさんみたいに感情的にならず
>穏やかで温和で、論理的で、って一見すると
>ちゃんと話し合いできそうな感じですが、
>核心のところで物事の本質を読み取ることが苦手なのではないですか?
れいさんがご指摘のとうりだと思います。
「○○だから、●●なっちゃったけど、この間は△△だったし、
◎◎は××だから、今は別にいいよね?」なんて
複雑な文章は、我が家の場合、夫を混乱に陥れるだけでした。
今は、聞きたいことは1つ、手を貸してもらうことも1つに絞り、
ひとつひとつ、確実にこなしていくことを優先しています。
ただ、1つに絞ると、全体像による回答・結果は絶対に得られません。
だから「さっきはいいって言ったのに、今はダメと言われる」
「トータルで物を考えたら、それは得にならない行動になる」
こともしょっちゅうですし、
彼の言動に全体像を求めること自体が、酷なように思います。
彼の中で「さっき、その事柄」にシングルフォーカスされた場合は、
それで良く、「今、その事柄」にシングルフォーカスされる場合は、
どうもダメなんでしょう。
彼が、賛成しようが、反対しようが、
私は、家庭の生活はまわしていくだけなので、
そんな彼の、彼なりの正当性を訴える議論を聞き流すこともしょっちゅうです。
的確にあいづちを打っている限り
「もっと真剣に聞け」や「聞き流すな」などという理不尽な怒りは
表現してきませんし、話すだけ話したら、本人もとても満足そうですし、
多分、こういった場合も、彼の中では「自分が話すこと」に
シングルフォーカスされ、相手が聞いているかどうかは、
特に認識されていないのだと思います。
自覚があるなしにかかわらず、
AS脳の情報の処理の仕方のひとつとして、
こういった(シングルフォーカス)傾向があるようですよ。
定型脳が、こういった情報処理の仕方をどう真似しても難しいように、
基本的に、お互いの違いは「命にかかわらない限り」許容する方が
お互いのためだと思いますし、
的確、かつ明確な短い文章で、その都度その都度、
コミュニケーションをはかった方が、長い目で考えれば、時間も手間も省けます。
>例えると、大きな木の幹みたいな話の本筋をこちらが進みたいのに
>あちらは凄く近視眼的なのでそれが見えないから
>枝分かれした方の枝だけを捉えて、一つ一つには正しい答えを返してくる。
>ドンドン枝分かれして行って、最終的には毛細血管の先みたいなところで
>言い合いしてるようなことになります。
>
>太い木の幹から見ると、そんなことはどうでもいいだろ?!みたいなことを
>突いてきて、そう答えると「あんたは間違ってる!」って。
我が家でも、日常的に起きていますね。
ただ、ここでも自覚のあるなしに関わらず、
現実問題としては、今でも、夫の言葉じり1つ1つを捉えていては、
全く話が進みませんから、
「枝に進ませない、進んでも戻す、戻りたがらなくても戻す」作業は
必要になってくると思います。
本来の気質が、マイペースな定型にとっては、
あまり苦のない作業ですが、相手に同調しやすい気質をもつ定型にとっては、
相手に惑わされない自分が、確かに必要かもしれません。
例えば「枝分かれした枝葉を一切見せないこと」を徹底してみては
いかがでしょうか。
「赤いコップを持ってきて」と彼にお願いすると、
「赤いコップ」に彼はシングルフォーカスされますが、
「赤いコップ」を見つけた途端に、「赤いコップ」の隣にある
「青いコップ」に彼がシングルフォーカスされると、
「この青いコップはどうしたの?」と返してきます。
そこで、「それ、○○ちゃんにもらったの」と返してしまうと、
枝分かれの始まりです。
こちらがいくら聞き流していても、次から次へと、
彼の中のシングルフォーカス対象は移り変わり、
青いコップ→○○ちゃん「○○ちゃんに△△で会ったよ」
○○ちゃん→△△「△△に●●を買いに行ったのに無かった」
△△→●●「●●が無いと仕事にならない」
話はどんどん流されていき、結局、手ぶらで戻ってきた彼を見て
「赤いコップはどうしたの?」と、最初の一歩に戻るはめになります。
ですから、自分の中に「望んでいる結果」がある場合、
彼の中の「シングルフォーカス対象」と、
自分の「望んでいる結果」を一致させておくことが
大切になってくるのではないでしょうか。
彼が「赤いコップ」にシングルフォーカスされている間に
「赤いコップをもってきてもらう」ことを最優先事項として
済ませてしまう。
そのためには「この青いコップはどうしたの?」と返してきた時点で、
1.「ごめん。それは後で説明するね。先ずは赤いコップを持ってきてもらえる?」
もしくは
2.「赤いコップを持ってきたら、教えてあげるよ。」と
飴とムチを使うこともあります。
「ご飯の前に、子供におやつを見せたら、
頭の中がおやつでいっぱいになっちゃったみたいで、
ご飯を食べなくなった。」というのと同じですね。
だから、ご飯前の子供におやつは「見せない・言わない・与えない」
それでも、ご飯を食べない時は
「ご飯を食べたら、おやつにしようか」という飴とムチを使う。
今更、成人した男性をつかまえて、子ども扱いをする気は毛頭ありませんが、
こういった対応自体は
そう難しいものでも珍しいものでもないように思います。
定型発達者のどういった言動が理解し難く、
あるいは、どういった言動が理解し易いのか、
その点は、AS当事者のご意見こそが貴重になってくるでしょうね。
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